親不孝
母方の祖母が亡くなったらしい。父方の祖父母はとっくに亡くなっていて、母方の祖父は離婚して今はもうどうしてるかよく知らない。だから祖父母はもういないものと考えていいのだと思う。
コロナで葬式にはいけなかった。そもそも葬式をちゃんとやれたのかすらよく分かってない。まるで他人みたいだ。こういう形でコロナを実感するとは思わなかった。
祖父母にとってたぶん可愛げのない孫だったと思う。一年に一度帰るかどうかだったし、自由に話せないもどかしさもあって会話も少なかった。何かを買ってプレゼントするほど、優れた人間じゃなかった。感謝がなかったわけじゃないけど、それを素直に表現できるほど大人でもなかった。
死を実感する年齢になってきた。親も歳をとってきた。でも、自分の人生もままならない。他人の人生はもっとままならない。
いつかもらったものを返せる日が来るのか。いつか受け取ったものを誰かに受け継いでいく日が来るのか。
ときどき吸えないタバコを無理矢理吸う。それがタバコをよく吸っていた祖父母を思い出させてくれるから。
死ぬまでにはちゃんと言葉を取り戻して死にたい。