ハッピーエンドホリック

好き勝手に幸せを求め続けてたいよね

めがはーと

クズの本懐横槍メンゴさんの短編集。

人の寿命を調べて、譲渡することができる世界のお話。

 

結婚するときにお互いの寿命を調べて、寿命を譲渡することができるという設定なんだけど、結婚ってお互いが死ぬまで一緒にいようねって約束なんだなっていうのひとつの考え方だと思った。一緒に住むかどうかとか子供を作るかどうかとか、そういうのは置いといて、一枚の紙きれのもとに夫婦という名の契約を死ぬまで続けることなんだなっていう。

 

昔読んだ二次創作で、好きな相手にひたすらひどいことをしてものすごく憎まれた状態で死ぬというお話があって、当時考えてたのは愛と憎しみはどっちが重いんだろうってことだったけど、いまだにはっきりとわからない。時間がたてばどちらも薄れてしまうような気はするけど、それよりも誰かの人生に深い傷跡を残して死ぬことが、一番強い印象を与えるのは確かかもしれないなとは思った。

 

思い出はいつもきれいだけど、っていう歌詞があるのは、手が届かないものはやっぱり変わりようがないんですよ。薄れたり色褪せたりすることはあっても、本質自体はそんなに変わらない。10年前に好きだった人は、10年後の姿を知らないかぎりは10年たっても好きだった人のままなんですよ。

 

そういうことを考えていたら「めがはーと」のなかの登場人物の気持ちがなんとなくすんなりと自分のなかに入ってきました。

 

この短編集には6つのお話があって、とくに兄妹の話と漫画家の話が好きなんだけど、どんな話かを説明するよりかはとにかく読んでほしい。

 

特別な人だからこそ、命の重さで縛り付けて、死ぬまでひとりじめしたいよね。