ハッピーエンドホリック

好き勝手に幸せを求め続けてたいよね

人はよく自分探しをするけれど、本当の自分なんてどこにもいない

自己アピールが苦手だ。

 

面接や自己紹介のたびに思うのは、僕は自分自身を説明しているのではなくて、ただ、毎回相手に合わせて自分を作り上げているのではないかということ。

 

就職面接で「御社が第一志望です」って何度も口にした人は少なくないはずだ。新しい恋人ができるたびに「君が一番だよ」と言う人もきっといるだろう。

 

もちろんそこまで極端じゃなくてもいい。例えば、カラオケで相手が知ってそうな曲を探りながら、歌う曲選びをしたことはないだろうか。少なくとも僕は相手がアニソンを聴きそうだな、と思った時しかアニソンを歌わない。多分、そういう選択はたくさんあると思う。

 

初対面に近ければ近いほど、僕は自分をさらけ出すことに臆病になる。相手がどんな人かはわからない。面白い人で話がすごい弾むかもしれないし、もしかしたら相性が悪くて全然気に入らないかもしれない。でも、どんな人であっても、最初のコミュニケーションは共感を作り出すところから始まるんじゃないかな。

 

共通点を探って、あれいいよね、これいいよねって言い合って、なんだか分かり合えた気になって。そこから少しずつ違いを明らかにしていくような。

 

でも、そうやって共感を作り出すための自分は、本当の自分なのだろうか。確かにそれは自分の一部かもしれないけれど、他の部分を切り捨てて隠してしまった自分は、本当の自分と言っていいのだろうか。

 

たくさんの場で、たくさんの自分を作り上げていくと、いつしか偽物の自分ばかり演じているような気分になってしまう。本当の自分はこんなんじゃない、そうやって自分の現状に不満ばかりが溜まっていく。

 

さて、本当の自分はどこだろう。そう思ったときに、どこにも本当の自分がいないことに気がついてしまった。断片をいくら集めても、元の姿には戻せない。100%の自分を表現できる場はどこにもなくて、もはや自分ですら原型を見失った。

 

鏡を見つめながら、僕は言う。

 

「ねえ、本当の僕はどこにあるのだろうか」

 

手の届かない本当の自分を探して、今日もまた、自分の姿を探している。